筋肉は裏切らないのか
武術を極めるにあたり、筋肉は非常に重要になると思われがちです。とにかくパワーが必要で、筋トレをしないと不安、筋肉なしで強くなれるとは思えない、といったところでしょうか。
師範もボクシングをしていた頃は、30kgのダンベルを振り、120kg近くものバーベルを上げ、重量を上げていくことが楽しみであったとのこと。重量をクリアすれば、次は回数をこなす、といった具合です。
ある時出会った周りの達人は、皆、口をそろえて筋肉はいらないと言います。
背も低く身体の細い達人が、多少腕に覚えもあり、筋力にも自信のあった師範を軽々と飛ばし、赤子の手をひねるかのようにまるで相手にならないような扱いだったようです。
筋肉はむしろ邪魔に
ある種の達人では、筋肉隆々のいわゆるマッチョを相手にすると嬉々として『筋肉はがし』という技を使うそうです。盛り上がった筋肉は、掴み放題のはがし放題なのだとか。はがされた筋肉がその後どうなるのかは、わかりません笑。
ちなみにこの筋肉はがしの技は、チンパンジーも得意なのだそうで、怖いですね、チンパンジー。
話が逸れました。
なまじ筋肉があると無駄に力が入ります。
そして、武術の力の源は、筋肉ではありません。身体に纏った筋肉が多いほど、この真理には気づけなくなります。
筋肉で動くと初動で相手に察知されます。
しかも筋肉は疲労します。
では筋肉の代わりに何を使うかといえば、「骨」です。
厳密に言うと、骨を軸とした身体意識ということになります。
骨+地球
「骨」を使って立つと、筋肉を使わずに済むので、楽に立つことができます。
「骨」で動くと初動が察知されにくくなります。
「骨」+「地球の引力」で筋肉より早い動きが可能になります。
筋肉を使う動きに慣れていると、この骨で動く力みのない動きが非常に難しいと感じます。
筋肉を使わない動きの代表といえば「膝カックン」ですね。
ひかがみ(膝裏)を小突かれるとカクンと落ちてしまうやつです。普通に屈伸するよりも早い動きです。
この「膝カックン」を自主的にするとなると筋肉が邪魔をするのです。